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最近読んだ本
・角田光代「ひそやかな花園」→まあまあおもしろかった。先が気になってぐんぐん読んだ。

・大島真寿美「戦友の恋」→3分の2以上読んでから、これ、読んだことあるかも・・・と思った。二回目だったようで。

・吉田 篤弘「それからはスープのことばかり考えて暮らした」→クラフト・エヴィング商會の吉田篤弘ということで、どんな深みのある話かと思えば、なんとも軽い話で少々拍子抜け。
さらっと読み終わり、ちょっと物足りなかった。

・クラフト・エヴィング商會「すぐそこの遠い場所」→こちらはやっぱりおもしろく、ニンマリしてしまうところが多々あり。めくるめく想像力の深い世界。名前を聞くだけでわくわくするものや言葉がいっぱいでてきた。
ふと目に止まる言葉のセンスもよく、またただふざけているような箇所もあるかと思えば、思わず唸らされる独特の視点の考察などもあり、忘れた頃にまた読みたい本。
いずれにしても「記憶」というものが気になってしょうがない、ということはよく分かる。それは私もだから。

・小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」
→感無量。うーん・・・これはもう本当に素晴らしい小説でした。
読了後一日たった今もまだ私はその世界を抜け出せず、今も象の泳ぐ大きな海を一緒に泳いでいる気持ち。
この、「本を読み終わってもまだしばらくその世界から抜け出せず、電車の中であろうとどこであろうと、ふいにその世界を彷徨ってしまう」というほどの小説に出会ったのは一体いつぶりだろうか。
この本のすばらしさは一言では言い表せず、読んだ人だけが分かるすばらしさなのだろうけど、間違いなくこれは、小説というジャンルの中で書かれた書物の最高峰にあり、これこそが小説の真の美しい姿、あるべき姿なのだろうということははっきりと感じた。
1ページ目、チェスの駒の説明だけでもうこれから広がるであろう世界がなんとなく予感され胸がいっぱいになり、あとはどのページを読んでいてもいつも泣きそうになる気持ちをぐっとこらえ、ただただその大海を静かに泳がしてもらった。
今でもどのページをめくっても泣きそうになる。
静かで、悲しくて、寂しくて、でも温かく、繊細で、しかし力強く、静謐で、丁寧で、そして誰もが優しい気持ちになるであろう、素晴らしい深遠な一冊。
小川洋子は偉大です。
by shizuka-irutokoro | 2013-02-25 00:11 | | Trackback | Comments(0)


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