カテゴリ:本( 42 )
津村記久子「浮遊霊ブラジル」
読んだ本
津村記久子「浮遊霊ブラジル」

ずっと読みたかったけど図書館で予約待ちをしていて、その間に先に読んだ「この世にたやすい仕事はない」がおもしろすぎて周りにすすめまくり、愛読者を増やしていた日々だったが、
ついに念願の「浮遊霊ブラジル」が読めました。
おもしろすぎた。

まだ津村さんの本は全部は読破しておらず、作品によって結構カラーが違うなあと思ったけど、
最新作のこれが今後津村さんが向かっていく方向ならぜひとも愛読していきたいと思う作品(短編集)だった。

全部おもしろかったけどやっぱりおもしろインパクト大は「地獄」、そして最後の表題作「浮遊霊ブラジル」は優しい余韻を持たせる、素敵な一作。
どれもどこかノスタルジックで旅をしているような身軽さがあった。

この一冊に至ってはやはり川上弘美の短編路線・・を感じずにはいられない。
ユーモアと生真面目さとクールさとファンタジーを、ベストな分量でミックスしているかんじ。

それで読み終わって思ったのは、「地獄」には物語消費しすぎの刑に処された主人公が出てくるけれども、私はそういう意味ではそこまで消費しすぎてはないと思うのだが、
この「消費」という言葉には気にかかるものもあって、
やっぱり現代人はなんでも色々消費しすぎだよなあと思う。

川上弘美の短編集「パスタマシーンの幽霊」は雑誌クウネルに一話ずつ掲載された短編をまとめたものだけど、これがもう全部おもしろいし読みやすいしで、
あまりにさくさくと読み進められてしまい、つい「おもしろい・・もっと・・!おかわりください!」と思ってしまうが、
いやいやこの一話書くのにどれだけ色々なものを削って生み出しているのか・・と立ち返って考えると、欲張ってごめんなさい〜!という気持ちになったものだった。

それをなんだかふと思い出して、「浮遊霊ブラジル」も、おもしろいし読みやすいしで、今すでに、津村さんもっと・・!おかわりください・・!みたいな気持ちになってしまってるけど、
だめだめ、そんな風に消費してはいけません。身を削って書かれたこのおもしろい小説を、大事に味わわないとなと、ぼんやり思ったりもして、
そしてそれはもちろんこれに限ったことではなく、
私たちは絶対近年、ついつい「おもしろい、さくさく終わる」ものを消費しまくる傾向にあるような気がするし、
楽しいけど、ありがたいけど、軽々しく消費しすぎるといつか地獄に落ちるよと気を引き締めたい気持ちです。

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by shizuka-irutokoro | 2017-04-06 09:02 | | Trackback | Comments(0)
読んだ本
・津村記久子「これからお祈りにいきます」
・津村記久子「君はそいつらより永遠に若い」
・津村記久子「ポトスライムの船」

津村作品をずんずん読んでいっている。
思いの外臨戦態勢というか、息を詰めたような作風で驚いた。
そうか、先日読んだ「この世にたやすい仕事はない」は津村さん自身もだいぶ疲弊感から抜け出してから、押し殺していた何かから解放されてきてから書かれたものだったのかなと想像する。

「君はそいつらより永遠に若い」はタイトルが良い。
もう内容はすっかり忘れてしまったけど印象深い小説「ダンボールボートで海岸」を思い出した。
「ポトスライムの船」、これもタイトルがいい。内容も好きだった。
馴染みある場所がでてきて楽しかった。
そしてどうでもいいけど、どうしても頭の中では「ポストライム」って読んでしまう。


・宮田珠紀「私の旅に何をする」
移動中にゆるゆる楽しく読めた。

・安西水丸: いつまでも愛されるイラストレーター (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

これが意外と読み応えがあって、非常におもしろかった。
私は水丸さんのことをなーーんにも知らず、絵が好きだなーと思っていたので、初めてご本人について知った。
冒頭の平松洋子さんの文章がとてもよかった。

だけど水丸さんは思ってたよりもずっと、南国系ではなく、
木枯らし吹く中、質の良いオーバーのえりを立てながら寡黙に歩く、みたいな人だった。

もっと知りたい気もするけど、水丸さんの絵をありのままシンプルに好きでいるためにもこれ以上は知らなくてもいいのかもしれない。
でも自伝的小説も読んでみたい気もする。
いやでも読まないでいいような気もする。

まあそれはともかくおもしろかった。


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by shizuka-irutokoro | 2017-03-17 09:29 | | Trackback | Comments(0)
読んだ本
・「おそれずにたちむかえ-テーストオブ苦虫5-」町田康

おもしろかった・・・おもわず吹き出してしまう箇所多数。
でも読みやすいかというと、実はそうでもないような。
結構思考が難解で、ついていくのにそれなりにパワーはいる。
よく毎回こんな力込めて書けるなーと感心した。
「ちょっと思ったこと」の内容にはぐっときた。

・「かなわない」植本一子

久々にこんなに切実でまっすぐな文章を読んで、シンプルにめちゃくちゃのめり込んだ。
ずっとずっと読んでいたかった。
こんなにもさらけだされた文章を、こんなにも淡々と書けるその文章力と解析力が素晴らしい。
案外作為的だったりもして、俯瞰から内側へ、そしてまた俯瞰へと寄せて引いてしている心の内が、この本の特別感を作り出している。
続編がもうすぐ出るのでぜひとも読みたい。
今ちょっと思ったけど、なんとなく峯田和伸「恋と退屈」を思い出した。

・「おめかしの引力」川上未映子

これまた「たましいのふたりごと」に続き、コスパ悪めの本。
内容は普通におもしろく、しかも結構服の趣味は近いと思う。(私はハイブランドは1着も持ってないけど。)
特に一つ目「大阪部がすこんと顔を出す」なんかは、わかるわかると首をかなり振った。
私も服に関してはどうしたって関西のおばちゃん的悪趣味のバーンとした服が好き。動物の顔が全面にバーン、みたいな。
今日も謎の黒猫の尻尾のようなふさふさが三本も真ん中に縫い付けられたニットをきています。
あと、服は買えるアート、ってところも結構分かる。

なので共感は多数なのだけど、読み終わった後に思ってしまったのは、これをはたして本で、文章で読みたいか・・?うーん、否かも、、みたいなこと。
おめかしと題されているのだから予想はできたので悪いのはそれをチョイスした私かもしれないけど、なんていうかこの内容は友達と話せばそれでいいなあ・・みたいな印象でした。
表紙もいまいち好きじゃなかった。

例えば純文学でやっていく、と腹を括った作家が、いつもおしゃれですよね、おしゃれについての本書きませんか?はいはい。いつもグルメですよね、グルメの本書きませんか?はいはい。いつもホスト通いされてますよね、ホストの本書きませんか?はいはい。でいいのかなあ・・・
まあ需要があれば別にいいのかもしれないけどね・・


・「この世にたやすい仕事はない」津村記久子

これは・・傑作でした。
こんなおもしろい作家を見逃していたとは・・・至急出版されている本を全て読み漁らなければ!!と心に決める。
いやーおもしろい!
バーンアウトした主人公がゆるゆる色々な仕事をしていく、という話なのだけど、
一話目はその仕事内容の単調さゆえ、読み進めるのもスピーディーにはいかなかったけど、一話目の最後急にドタバタと話が展開したのを皮切りに、くるくると歯車が回り出した感じ。そこまでが長い序章だったような・・
好きだったのはおかき会社での仕事。
作者の想像力に感動!
これは深夜ドラマ化したらどうでしょうか。



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by shizuka-irutokoro | 2017-01-13 09:48 | | Trackback | Comments(0)
読んだ本
読んだ本

「たましいのふたりごと」川上未映子×穂村弘
おもしろかったけど、一瞬で読めすぎて私は図書館で借りたからいいけど、コスパの気になる本ではあった。
なんだかんだ一番心に残ったのは冒頭の穂村弘の川上未映子への考察。
10代の私を知っている知人が川上未映子の脳内と私の脳内が近いと言った意味がちょっとわかったような。

わかるわかる〜と思ったのは「媚び」の話。
ツイッターでその世界の先輩にフォローされて「あわわわ〜恐縮です!」とリプするやつが嫌ってやつ。めっちゃわかる。アーティストのツイッターをたまに見てその光景を目にした時、そっか・・って思う。
でも私ももしその立場ならあわわわ〜と言ってしまいそうなのでツイッターもインスタもしない。
媚びの世界は現実だけで十分。ネットの世界でまでしないといけないなんて、しかもその様子を世間にさらされるなんて、考えただけでも頭クラクラ、そんなことする余裕はない、と思う。
みんな私生活でも屋号をかかげてフリーランスな気分でがんばってるのだろうなと思う。

「初体験」の話も結構共感。


「卵町」
大好きな栗田有起の本。
パンチが少し足りなかったけど、いつもの好きな世界観だった。
ずっと読んでいたいのに、すぐ終わってしまった。


「かのこちゃんとマドレーヌ夫人 」万城目 学
人が貸してくれたのでさくっと。まあ普通。

今途中のやつが3冊。順番に読んでいこう。

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by shizuka-irutokoro | 2016-12-23 14:11 | | Trackback | Comments(0)
読んだ本
少し前に一気読んだ3冊が全部面白かったのだけど、3冊分心に入ってきたらなかなかどうしてぐーんと落ち込んでしまった。
というのはだいぶ前の話ではあるが。

一回じっくり落ち着いて考えたら、暗い気持ちの理由もだいぶ分かってきて、今は気分が戻ってきてほっとしているところ。

それにしても。
1,はだかんぼうたち 江國香織
2,笹の船で川をわたる 角田光代
3,平凡 角田光代

1冊目が今の気持ちとしては近い。
いつまでこんなこと続けるのだろうと思うながら、抜け出せない甘やかさと心細さ。

そして、2冊目、3冊目は同じテーマ。
「笹の船で川を渡る」の方が大作で引き込まれたけど、年代が違う分なんとかリアリティを感じすぎずにすんだのだけど、
「平凡」はえぐるようなリアリティで、なぜこんなことを書くのだ・・と恨み言の一つも言いたくなる感じ。

同じところで止まるならば「はだかんぼうたち」のようにいなければならず、進んだら進んだで「これとは別の人生があったのでは」と思わなければいけないなんて・・
いや他の選択肢もあるはずだと今自分を奮い立たせているところ。


そうこうしてるうちに
・ワンナイト 大島真寿美
・あこがれ 川上未映子

も読んだ。

夏が着々と過ぎて行っていて気持ちばかり焦る。


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by shizuka-irutokoro | 2016-08-05 09:29 | | Trackback | Comments(0)
最近読んだ本
読んだ本

・川上弘美「不良になりました」
→永遠に読めそう

・川上未映子「君は赤ちゃん」
→相変わらずすごい臨場感。

・ミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれたもの」
→すっごくおもしろかった。結局のところ、魅力的なのはミランダ・ジュライ本人の、外へそして内への観察力。

・角田光代×穂村弘「異性」
→おもしろかった。所々無理矢理感を感じるところもあったけど、大半はほうほうという感じで、二人のボキャブラリーと分析を楽しんだ。

以前、宮沢りえとの破局に関する記者会見で「愛情がなくなりました」と云った貴花田(現・貴乃花親方)にはびっくりした。
誠実モンスターだ。ああいうときって普通は、お互い忙しい生活の中で少しずつ気持ちのズレがなんとかかんとか、って云うもんじゃないのか。(穂村弘)

「誠実モンスター」っておもしろい。

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by shizuka-irutokoro | 2016-06-24 09:04 | | Trackback | Comments(0)
「ラオスに何があるというのですか」「夢十夜」
村上春樹「ラオスに何があるというのですか」

読みやすすぎてさらさらと読んでしまったけど、思うところはたくさんあった。
まず、ああやっていつでもどこでも暮らせる、お金もある、という生活を実現させた村上さんのすごさ。
もちろん楽して、なんて思ってないしさぞや大変だったろうと思うけど、
でもそれを実現できるというのはすごく能力だと思った。

ラオス、私も托鉢見たから懐かしかった。
それからアイスランドの手強さよ・・興味あったけど、気軽には行けなさそう。

どれも描写が淡々としつつも美しく、内省することの大切さを思い出させてくれた。
おもしろかった。

あー旅にでたい。



夏目漱石「夢十夜」

母が新聞の切り抜きを置いていてくれたので、それで読んだ。
おもしろかった。

夢って不思議。

先日こんな夢を見た。
私は真っ白なマンションに住んでいて、本当の恋人は私の上の階に住んでいる。
しかし私は今別の男の子と住んでいて、それは中学の同級生だった。
当時もほとんど話したことのない、何の記憶もない男の子で、
夢の中の彼の目はきれいだった。
それにしても一体なぜ彼が出てきたのか謎だ。

夢っておもしろい。

夢関連でいえば川上弘美の「椰子椰子」という本がとても好き。
あと、むかーーーーし読んだ吉本ばななの「夢について」も好きだった。
きれいなハードカバーの本でした。



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by shizuka-irutokoro | 2016-05-19 09:04 | | Trackback | Comments(0)
最近読んだ本
江國香織「真昼なのに昏い部屋」

おもしろかったーーー

「想像ラジオ」みたいに、ちょっとこれ読んでみて、ねえどう思った?ねえねえ、
と人と話し合いたくなる本もあれば、
別に他の誰にも読んでもらわなくていいし、誰とも共有せずとも満足できる本もある。
ということでこの本は後者。

こういう本、っていうか江國香織の本のほとんどに私は自分の分身がそこにいるように感じているのだけど、
江國好きだけど、共感してるわけじゃないって人も結構いるんだろうなー
受け付けない人も多々いるだろうけど・・

まあとにかくこの小説はなかなか、すっきりとまとまっていて、
まどろっこしさもなく、軽やかな疾走感!
かけぬけるような、早く早くと手を引かれながら進むような爽快感がありました。
全てが目に浮かんで美しかった!

そして、最後どうなるのーーーって思いつつ一気に読んで、
うーーん、技ありすぎるラスト数行。
納得、何一つ口を挟むことはございません、
といった完璧なラストでした。

あらゆる人間の長所と短所を愛おしく傍観して書かれた、
人間観察ともいえるおもしろい1冊でした。


あと、気まぐれに太宰治の「ヴィヨンの妻」も再読。
やっぱりおもしろいねー


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by shizuka-irutokoro | 2015-09-23 20:50 | | Trackback | Comments(0)
ここ最近読んだ本
・いとうせいこう「想像ラジオ」
よかった・・
私がいとうせいこうと相性いいってのもあるみたいだけど、
それにしても良かった。
ぜひたくさんの人に読んでほしい。

これは小説というよりも、現代に生まれた新しい物語の形かもと思う。
本を読む習慣のない人にこそ読んでほしい。
この話にピンとこない人は、心のアンテナが錆びているのではないかと危機感を持ってほしい。

良かったところをまとめると
・そのタイトル通り、「想像」することの大事さが書かれている点
・震災がテーマでありながら、それだけに留まらず、大事な人を亡くすことはどういうことかに言及している点
・これが正しい姿勢だと明言しない優しさ

みたいなところかなー
いやもっといろいろ思うところはあるんですけど、とりあえず読んで良かった一冊でした。

・石井陽青「アンティーク・ディーラー」
へーってことがいっぱいで、勉強になった。
アンティークの奥深き世界・・・

・関美香「古くて美しいもの」
こちらはまた違うアプローチで古いものについて書かれていておもしろかった。

・いしいしんじ「ある1日」
読み終わってぐったり・・・
したけど、心底素晴らしい本でした。
いしいさんの文才爆発、ここがどこか分からなくなる浮遊感。
そして壮絶なラスト・・は結構しんどかったけど・・
しかし、
最後の園子さんのバースプランに涙。

とはいえ私はあれは絶対書けない・・・


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by shizuka-irutokoro | 2015-09-15 22:01 | | Trackback | Comments(0)
旅で読んだ本
・つれづれノート26 草の穂をゆらす
・つれづれノート27 石とまるまる

26は薄くて、行きのポルトガルに着くまでに読み終わってしまった。
あんまり印象に残らない1冊だったけど、何がおもしろかったって、過去のつれづれを読み直して一言ずつコメントしていっているところ。
「むーちゃんが出てくるとうっすらと嫌な予感がする」とか笑った。

そして27がかなりおもしろかった。
ここ数年、重苦しい雰囲気のつれづれに耐えてきたかいがあった。クリアでキレのある言葉がたくさん。
「(服装の)流行りの大縄跳びに飛び込んだが最後必死で飛び続けなくてはならない」なんてほんと、そうそうってかんじだった。
あと飛行機乗り遅れたときの臨場感にも笑った。
かなりおもしろかった。

・ガープの世界

いやー長かったね。読み応えあったね。
最近つくづく、いや前から知ってたけどさらに、時間ってすごいなあと感じる。
時間はかけた分のものがたしかに自分の中に残る。
必ず何かの形としての結果になるわけではないけど、たしかに自分の中にはその時間分の何かは蓄積される。
インド映画とかも、長いけど長いなりに同じ内容を2時間でまとめただけとは違うしみじみさがでたりしてるし。

というわけでガープ。
ガープの出生から死ぬまで、その後のエピローグまで、たっぷり読み応えがあり、一人の人生を共に駆け抜けたようなどっしり感。
あんまり品良くないし、滑稽で悲しくて、好みではないんだけど、でもまあやはりおもしろく、特に下巻に入ってからは止まらなかった。
違うやつもチャレンジしてみよう。

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by shizuka-irutokoro | 2015-06-11 22:54 | | Trackback | Comments(0)