カテゴリ:本( 44 )
読んだ本
読んだ本

・本谷有希子「異類婚姻譚」
おもしろかった。こういうへんてこな話好き。
ホラー的な雰囲気もありつつ、怖くない、こっけいで、笑ってしまう。そんな夫婦のおかしみが良かった。終わり方が好き。
カップルって周りからすると関わりたくない、生々しくてなんだか嫌、でも本人たちはウェルカムみたいなところがあって、
でも夫婦って逆で、近づきやすさの裏でそっと本人たちが閉ざす壁ってあるような気がする。
と書いてみたけど、まあ自分の夫婦生活はそんな情緒的でも文学的でもないけれど。

・滝口悠生「茄子の輝き」
良かった。本当にさりげない小さな記憶が読後こうも私の中にありありと浮かぶから不思議だ。
「お茶の時間」のシフト表には笑った。
茄子の輝きって何かと思ったら、そういう意味だったか。
タイトルのつけ方もうまいなと思う。

・角田光代「坂の途中の家」
久しぶりにぐっとのめり込んで読んだ。おもしろかった〜
前半は育児の息苦しさと主人公の追い詰められていく切迫感に目が離せず、サスペンス的なハラハラもあり、ぐっと引き込まれる。
ところが後半主人公は奇妙な冷静さを取り戻し、自分の中にふと芽生えた一つの気づきについて考察していく。
そうしてスポットライトは育児からは外れ、親密な対大人との間で起こりうる複雑な心理状況へと移る。
私もあーこういうの知ってるなあと思うけれどうまく表現できない、言葉のない水面下の心理戦を巧みに紐解いていき、
最後主人公が粘り強く自分なりの答えを見つけた時にはこちらも爽快感というか、目の前が晴れた気持ちになった。
そしてこのテーマを裁判員制度への参加という、ある種非現実的な出来事に沿わす形で書いた角田光代の筆力に私はとても感心しました。

・綿矢りさ「生姜の味は熱い」
若い同棲カップルのうだうだ。おもしろかった。
二人とも未熟で、まあだからこそ23-26歳という年齢設定にもしたのだろうけど、未熟さの中にも分かるなあというか、
ふと自分も襲われることのある孤独だったり惨めさだったりわずらわしさだったりが繊細に描かれていて、楽しめた。

・村上春樹「騎士団長殺し」
これもおもしろかった。長いのでしばらく楽しめて嬉しかった。
私は村上春樹の小説の中ではかなり気に入った方かも。
それはやっぱり主人公がちょっとだけ大人、ってところがよかったのかな。
最初に結末を書いてるところも珍しいし。

・村上春樹・川上未映子「みみずくは黄昏に飛び立つ」
ちょっと勢いにのって読んでみる。
頭使ってしんどかったけど、私は結構ほーっと思うところがあった。

一番なるほどなあ・・と思ったのは、村上春樹が自分を「物語る人」だというような言い方をしていたこと。
自分の書いているものは、テーマが何かとかではなく、物語なのだと。
古代から伝承されてきた物語がそうであったように、自分もまた良質な物語を語るのだ、と。
そうか、そうだったのか、と合点が行った。
そしてそれっていしいしんじとすごく似てるなって思った。
いしいさんも、締め切りを決めずに毎日椅子に座って、物語が降りてくるのを待っているというようなことを言っていた。
そして、何百年後、何千年後のどこの国で読まれてもおもしろいと思ってもらえるような話を書きたいのだと。
全く同じだよな〜・・って思った。
やはり本物の小説家って語り部というか、普通の人はいけないところへ降りて行って、そこから物語を引っ張り出してきて伝えてくれる人なのかなと思ったら納得。
そこには驚くほど自己顕示欲がない。
ちなみに、石牟礼道子さんもそのようなことを言っていた。
自分が生み出すのではなく、自分の中を通すことで物語は外へ出れるのだ、というようなことを。
そういう選ばれし人っているのかなって単純に思った。

あとは、ピアノを右手と左手ばらばらに弾いて調和をとるのが得意、って話もおもしろかった。(比喩です)
文体の大事さの話もふむふむ。
あと読者との信用取引の話も。
たしかに、信用取引が成功している作家って数少ない気がする。
私川上未映子への信用を最近やや失いかけてるし。まだ信じてるけど。
かつて信用できなくなったよしもとばななとはもう距離を置いたまま近づいていないし。
でも村上さんのことはずっと信用しているよなあ・・と思う。小説がわけがわからなくても。

基本的に今回の聞き手、川上未映子には鋭さは特に感じず、やるな・・!というよりは、よく勉強してきたなあということに感心したけど
(これだけ準備してたら絶対相手も悪い気しないと思う)、フェミニズムのくだりだけぐっと力が入ったところがおもしろかった。
彼女のフェミニズム感にはわりと共感しているので、興奮する気持ちも分かって。
あとはもう完全に作家という立場は置いておいて、一人の読者としてインテビューしてる感じ。
でもそうするしかないと思う。川上未映子は村上さんと対等に作家として話せる語り部ではないし。

同じようなことをずっと村上さんは他でも言ってきてたのかもしれないけど、私的には色々発見があっておもしろい一冊でした。
しかししばらく村上春樹お腹いっぱいという気持ち。


と思ったのだけど、図書館に行ったらたまたま村上春樹訳の「グレート・ギャツビー」があってつい借りてしまう。
それでぱらぱら読んでたら、めっちゃ読みやすい!
私は野崎孝訳で最初読んで、でもそれ売ってしまって、今手元に大貫二郎訳があるのだけど、
正直これめっちゃわかりにくい!ストーリー知っていても読みにくい。
そう思うと村上春樹訳はかなり読みやすくて良い。また読もうかなと思った。

でも、村上春樹が、冒頭と結末を思うように訳す自信がなかったから20年近く訳せずにいた、とあとがきで書いていたその冒頭と最後の一節
(私もこの冒頭と最後は本当に素晴らしいと手放しで思っている)は、最初に読んだ野崎孝訳が断然好きな私です。


冒頭
In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I've been turning over in my mind ever since.
"Whenever you feel like criticising anyone," he told me, "just remember that all the people in this world haven't had the advantages you've had."

野崎孝訳
ぼくがまだ年若く、いまよりもっと傷つきやすい心を持っていた時分に、父がある忠告を与えてくれたけれど、爾来ぼくは、その忠告を、心の中でくりかえし反芻してきた。
「ひとを批判したいような気持が起きた場合にはだな」と、父は言うのである。「この世の中の人がみんなおまえと同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思いだしてみるのだ」

村上春樹訳
僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」


最後の一節
So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past.

野崎孝訳
こうしてぼくたちは、絶えず過去へ過去へと運び去られながらも、流れにさからう舟のように、力のかぎり漕ぎ進んでゆく。

村上春樹訳
だからこそ我々は、前へ前へと進み続けるのだ。流れに立ち向かうボートのように、絶え間なく過去へと押し戻されながらも。


野崎訳のどこが好きかというと冒頭部分は「くりかえし反芻してきた」ってところと「ちょっと思い出してみるのだ」ってところ。

そして最後は、まあ全部になるけど「絶えず過去へ過去へと運び去られながらも」ってのと「流れにさからう船のように」「力のかぎり漕ぎ進んでゆく」ってところ。
全部ですね。すみません。

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by shizuka-irutokoro | 2018-03-06 09:37 | | Trackback | Comments(0)
読んだ本
川上弘美「ぼくの死体をよろしくたのむ」
江國香織「なかなか暮れない夏の夕暮れ」

好きな作家の新刊を読めるのは嬉しい。
もったいないと思っているのにすぐ読んでしまう。
どちらもおもしろかった。

川上弘美の今回の作品の中には雑誌「つるとはな」に掲載されたものもあるということで、
ちょっと大人っぽいものも多く、年齢についての話もいくつかあった。
特に精神年齢と同じ外見になるという話はとてもおもしろかった。
川上弘美の短編はいつだって最高。

江國香織の甘美で贅沢な世界はいつも変わらず。
今でも自分が、当時何か分からなかった「ディルが少し入っているの」と梨香がいいながら作ったサンドイッチに思いを馳せて
きゅうりとサワークリームのサンドイッチを作ったりしてしまうのだから、
どうかこれからも、私の知らない何か素敵なものを描いてうっとりさせてほしいと思う。

ちなみにこの時私はディルを絶対にお酒だ、と思ったのだけど、どっこいハーブでしたね。

「落下する夕方」と「なかなか暮れない夏の夕暮れ」って少し雰囲気が似ているタイトルだ。



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by shizuka-irutokoro | 2017-07-31 09:43 | | Trackback | Comments(0)
津村記久子「浮遊霊ブラジル」
読んだ本
津村記久子「浮遊霊ブラジル」

ずっと読みたかったけど図書館で予約待ちをしていて、その間に先に読んだ「この世にたやすい仕事はない」がおもしろすぎて周りにすすめまくり、愛読者を増やしていた日々だったが、
ついに念願の「浮遊霊ブラジル」が読めました。
おもしろすぎた。

まだ津村さんの本は全部は読破しておらず、作品によって結構カラーが違うなあと思ったけど、
最新作のこれが今後津村さんが向かっていく方向ならぜひとも愛読していきたいと思う作品(短編集)だった。

全部おもしろかったけどやっぱりおもしろインパクト大は「地獄」、そして最後の表題作「浮遊霊ブラジル」は優しい余韻を持たせる、素敵な一作。
どれもどこかノスタルジックで旅をしているような身軽さがあった。

この一冊に至ってはやはり川上弘美の短編路線・・を感じずにはいられない。
ユーモアと生真面目さとクールさとファンタジーを、ベストな分量でミックスしているかんじ。

それで読み終わって思ったのは、「地獄」には物語消費しすぎの刑に処された主人公が出てくるけれども、私はそういう意味ではそこまで消費しすぎてはないと思うのだが、
この「消費」という言葉には気にかかるものもあって、
やっぱり現代人はなんでも色々消費しすぎだよなあと思う。

川上弘美の短編集「パスタマシーンの幽霊」は雑誌クウネルに一話ずつ掲載された短編をまとめたものだけど、これがもう全部おもしろいし読みやすいしで、
あまりにさくさくと読み進められてしまい、つい「おもしろい・・もっと・・!おかわりください!」と思ってしまうが、
いやいやこの一話書くのにどれだけ色々なものを削って生み出しているのか・・と立ち返って考えると、欲張ってごめんなさい〜!という気持ちになったものだった。

それをなんだかふと思い出して、「浮遊霊ブラジル」も、おもしろいし読みやすいしで、今すでに、津村さんもっと・・!おかわりください・・!みたいな気持ちになってしまってるけど、
だめだめ、そんな風に消費してはいけません。身を削って書かれたこのおもしろい小説を、大事に味わわないとなと、ぼんやり思ったりもして、
そしてそれはもちろんこれに限ったことではなく、
私たちは絶対近年、ついつい「おもしろい、さくさく終わる」ものを消費しまくる傾向にあるような気がするし、
楽しいけど、ありがたいけど、軽々しく消費しすぎるといつか地獄に落ちるよと気を引き締めたい気持ちです。

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by shizuka-irutokoro | 2017-04-06 09:02 | | Trackback | Comments(0)
読んだ本
・津村記久子「これからお祈りにいきます」
・津村記久子「君はそいつらより永遠に若い」
・津村記久子「ポトスライムの船」

津村作品をずんずん読んでいっている。
思いの外臨戦態勢というか、息を詰めたような作風で驚いた。
そうか、先日読んだ「この世にたやすい仕事はない」は津村さん自身もだいぶ疲弊感から抜け出してから、押し殺していた何かから解放されてきてから書かれたものだったのかなと想像する。

「君はそいつらより永遠に若い」はタイトルが良い。
もう内容はすっかり忘れてしまったけど印象深い小説「ダンボールボートで海岸」を思い出した。
「ポトスライムの船」、これもタイトルがいい。内容も好きだった。
馴染みある場所がでてきて楽しかった。
そしてどうでもいいけど、どうしても頭の中では「ポストライム」って読んでしまう。


・宮田珠紀「私の旅に何をする」
移動中にゆるゆる楽しく読めた。

・安西水丸: いつまでも愛されるイラストレーター (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

これが意外と読み応えがあって、非常におもしろかった。
私は水丸さんのことをなーーんにも知らず、絵が好きだなーと思っていたので、初めてご本人について知った。
冒頭の平松洋子さんの文章がとてもよかった。

だけど水丸さんは思ってたよりもずっと、南国系ではなく、
木枯らし吹く中、質の良いオーバーのえりを立てながら寡黙に歩く、みたいな人だった。

もっと知りたい気もするけど、水丸さんの絵をありのままシンプルに好きでいるためにもこれ以上は知らなくてもいいのかもしれない。
でも自伝的小説も読んでみたい気もする。
いやでも読まないでいいような気もする。

まあそれはともかくおもしろかった。


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by shizuka-irutokoro | 2017-03-17 09:29 | | Trackback | Comments(0)
読んだ本
・「おそれずにたちむかえ-テーストオブ苦虫5-」町田康

おもしろかった・・・おもわず吹き出してしまう箇所多数。
でも読みやすいかというと、実はそうでもないような。
結構思考が難解で、ついていくのにそれなりにパワーはいる。
よく毎回こんな力込めて書けるなーと感心した。
「ちょっと思ったこと」の内容にはぐっときた。

・「かなわない」植本一子

久々にこんなに切実でまっすぐな文章を読んで、シンプルにめちゃくちゃのめり込んだ。
ずっとずっと読んでいたかった。
こんなにもさらけだされた文章を、こんなにも淡々と書けるその文章力と解析力が素晴らしい。
案外作為的だったりもして、俯瞰から内側へ、そしてまた俯瞰へと寄せて引いてしている心の内が、この本の特別感を作り出している。
続編がもうすぐ出るのでぜひとも読みたい。
今ちょっと思ったけど、なんとなく峯田和伸「恋と退屈」を思い出した。

・「おめかしの引力」川上未映子

これまた「たましいのふたりごと」に続き、コスパ悪めの本。
内容は普通におもしろく、しかも結構服の趣味は近いと思う。(私はハイブランドは1着も持ってないけど。)
特に一つ目「大阪部がすこんと顔を出す」なんかは、わかるわかると首をかなり振った。
私も服に関してはどうしたって関西のおばちゃん的悪趣味のバーンとした服が好き。動物の顔が全面にバーン、みたいな。
今日も謎の黒猫の尻尾のようなふさふさが三本も真ん中に縫い付けられたニットをきています。
あと、服は買えるアート、ってところも結構分かる。

なので共感は多数なのだけど、読み終わった後に思ってしまったのは、これをはたして本で、文章で読みたいか・・?うーん、否かも、、みたいなこと。
おめかしと題されているのだから予想はできたので悪いのはそれをチョイスした私かもしれないけど、なんていうかこの内容は友達と話せばそれでいいなあ・・みたいな印象でした。
表紙もいまいち好きじゃなかった。

例えば純文学でやっていく、と腹を括った作家が、いつもおしゃれですよね、おしゃれについての本書きませんか?はいはい。いつもグルメですよね、グルメの本書きませんか?はいはい。いつもホスト通いされてますよね、ホストの本書きませんか?はいはい。でいいのかなあ・・・
まあ需要があれば別にいいのかもしれないけどね・・


・「この世にたやすい仕事はない」津村記久子

これは・・傑作でした。
こんなおもしろい作家を見逃していたとは・・・至急出版されている本を全て読み漁らなければ!!と心に決める。
いやーおもしろい!
バーンアウトした主人公がゆるゆる色々な仕事をしていく、という話なのだけど、
一話目はその仕事内容の単調さゆえ、読み進めるのもスピーディーにはいかなかったけど、一話目の最後急にドタバタと話が展開したのを皮切りに、くるくると歯車が回り出した感じ。そこまでが長い序章だったような・・
好きだったのはおかき会社での仕事。
作者の想像力に感動!
これは深夜ドラマ化したらどうでしょうか。



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by shizuka-irutokoro | 2017-01-13 09:48 | | Trackback | Comments(0)
読んだ本
読んだ本

「たましいのふたりごと」川上未映子×穂村弘
おもしろかったけど、一瞬で読めすぎて私は図書館で借りたからいいけど、コスパの気になる本ではあった。
なんだかんだ一番心に残ったのは冒頭の穂村弘の川上未映子への考察。
10代の私を知っている知人が川上未映子の脳内と私の脳内が近いと言った意味がちょっとわかったような。

わかるわかる〜と思ったのは「媚び」の話。
ツイッターでその世界の先輩にフォローされて「あわわわ〜恐縮です!」とリプするやつが嫌ってやつ。めっちゃわかる。アーティストのツイッターをたまに見てその光景を目にした時、そっか・・って思う。
でも私ももしその立場ならあわわわ〜と言ってしまいそうなのでツイッターもインスタもしない。
媚びの世界は現実だけで十分。ネットの世界でまでしないといけないなんて、しかもその様子を世間にさらされるなんて、考えただけでも頭クラクラ、そんなことする余裕はない、と思う。
みんな私生活でも屋号をかかげてフリーランスな気分でがんばってるのだろうなと思う。

「初体験」の話も結構共感。


「卵町」
大好きな栗田有起の本。
パンチが少し足りなかったけど、いつもの好きな世界観だった。
ずっと読んでいたいのに、すぐ終わってしまった。


「かのこちゃんとマドレーヌ夫人 」万城目 学
人が貸してくれたのでさくっと。まあ普通。

今途中のやつが3冊。順番に読んでいこう。

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by shizuka-irutokoro | 2016-12-23 14:11 | | Trackback | Comments(0)
読んだ本
少し前に一気読んだ3冊が全部面白かったのだけど、3冊分心に入ってきたらなかなかどうしてぐーんと落ち込んでしまった。
というのはだいぶ前の話ではあるが。

一回じっくり落ち着いて考えたら、暗い気持ちの理由もだいぶ分かってきて、今は気分が戻ってきてほっとしているところ。

それにしても。
1,はだかんぼうたち 江國香織
2,笹の船で川をわたる 角田光代
3,平凡 角田光代

1冊目が今の気持ちとしては近い。
いつまでこんなこと続けるのだろうと思うながら、抜け出せない甘やかさと心細さ。

そして、2冊目、3冊目は同じテーマ。
「笹の船で川を渡る」の方が大作で引き込まれたけど、年代が違う分なんとかリアリティを感じすぎずにすんだのだけど、
「平凡」はえぐるようなリアリティで、なぜこんなことを書くのだ・・と恨み言の一つも言いたくなる感じ。

同じところで止まるならば「はだかんぼうたち」のようにいなければならず、進んだら進んだで「これとは別の人生があったのでは」と思わなければいけないなんて・・
いや他の選択肢もあるはずだと今自分を奮い立たせているところ。


そうこうしてるうちに
・ワンナイト 大島真寿美
・あこがれ 川上未映子

も読んだ。

夏が着々と過ぎて行っていて気持ちばかり焦る。


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by shizuka-irutokoro | 2016-08-05 09:29 | | Trackback | Comments(0)
最近読んだ本
読んだ本

・川上弘美「不良になりました」
→永遠に読めそう

・川上未映子「君は赤ちゃん」
→相変わらずすごい臨場感。

・ミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれたもの」
→すっごくおもしろかった。結局のところ、魅力的なのはミランダ・ジュライ本人の、外へそして内への観察力。

・角田光代×穂村弘「異性」
→おもしろかった。所々無理矢理感を感じるところもあったけど、大半はほうほうという感じで、二人のボキャブラリーと分析を楽しんだ。

以前、宮沢りえとの破局に関する記者会見で「愛情がなくなりました」と云った貴花田(現・貴乃花親方)にはびっくりした。
誠実モンスターだ。ああいうときって普通は、お互い忙しい生活の中で少しずつ気持ちのズレがなんとかかんとか、って云うもんじゃないのか。(穂村弘)

「誠実モンスター」っておもしろい。

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by shizuka-irutokoro | 2016-06-24 09:04 | | Trackback | Comments(0)
「ラオスに何があるというのですか」「夢十夜」
村上春樹「ラオスに何があるというのですか」

読みやすすぎてさらさらと読んでしまったけど、思うところはたくさんあった。
まず、ああやっていつでもどこでも暮らせる、お金もある、という生活を実現させた村上さんのすごさ。
もちろん楽して、なんて思ってないしさぞや大変だったろうと思うけど、
でもそれを実現できるというのはすごく能力だと思った。

ラオス、私も托鉢見たから懐かしかった。
それからアイスランドの手強さよ・・興味あったけど、気軽には行けなさそう。

どれも描写が淡々としつつも美しく、内省することの大切さを思い出させてくれた。
おもしろかった。

あー旅にでたい。



夏目漱石「夢十夜」

母が新聞の切り抜きを置いていてくれたので、それで読んだ。
おもしろかった。

夢って不思議。

先日こんな夢を見た。
私は真っ白なマンションに住んでいて、本当の恋人は私の上の階に住んでいる。
しかし私は今別の男の子と住んでいて、それは中学の同級生だった。
当時もほとんど話したことのない、何の記憶もない男の子で、
夢の中の彼の目はきれいだった。
それにしても一体なぜ彼が出てきたのか謎だ。

夢っておもしろい。

夢関連でいえば川上弘美の「椰子椰子」という本がとても好き。
あと、むかーーーーし読んだ吉本ばななの「夢について」も好きだった。
きれいなハードカバーの本でした。



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by shizuka-irutokoro | 2016-05-19 09:04 | | Trackback | Comments(0)
最近読んだ本
江國香織「真昼なのに昏い部屋」

おもしろかったーーー

「想像ラジオ」みたいに、ちょっとこれ読んでみて、ねえどう思った?ねえねえ、
と人と話し合いたくなる本もあれば、
別に他の誰にも読んでもらわなくていいし、誰とも共有せずとも満足できる本もある。
ということでこの本は後者。

こういう本、っていうか江國香織の本のほとんどに私は自分の分身がそこにいるように感じているのだけど、
江國好きだけど、共感してるわけじゃないって人も結構いるんだろうなー
受け付けない人も多々いるだろうけど・・

まあとにかくこの小説はなかなか、すっきりとまとまっていて、
まどろっこしさもなく、軽やかな疾走感!
かけぬけるような、早く早くと手を引かれながら進むような爽快感がありました。
全てが目に浮かんで美しかった!

そして、最後どうなるのーーーって思いつつ一気に読んで、
うーーん、技ありすぎるラスト数行。
納得、何一つ口を挟むことはございません、
といった完璧なラストでした。

あらゆる人間の長所と短所を愛おしく傍観して書かれた、
人間観察ともいえるおもしろい1冊でした。


あと、気まぐれに太宰治の「ヴィヨンの妻」も再読。
やっぱりおもしろいねー


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by shizuka-irutokoro | 2015-09-23 20:50 | | Trackback | Comments(0)